ネクタイ

 

 

息子が就職活動の指導が大学であるので、スーツを着なければいけないという。で、ネクタイのしめ方が解らないので教えてくれと頼まれた。教えてやろうとしたのだが、教え方が解らない。いつもはネクタイの締め方など考えたこともない。考えなくてもいつの間にか、結んでしまっている。そのせいか、結び方を教えようとすると、なんだか混乱して自分でも解らなくなってしまった。息子は電車に乗る時間がせまっているという。焦れば焦るほど思い出せない。何でだ。いつもはあんなに簡単に結んでいるネクタイが。結び方を忘れてしまった。ヘンな形に結んだまま息子は家を出てしまった。その後で笑ってしまった。何だ、簡単に結べるではないか。いつもは多分小脳で処理しているのだろうと思う。急に大脳でそれをやろうとしたからなのか、混乱してしまったのかもしれない。惰性とは便利なものだが、それを理性に返還するとなるとかなりのエネルギーが必要となるものらしい。冷や汗をかいてしまったようだ。

 

 

20110716

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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